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ソフトかハードか

「そりゃ,あなたは電気系じゃなくて機械系だもの」
実際には情報系に所属していた私の,当時の助手の先生は当たり前のようにそう言って会話を終わらせた.

高所恐怖症でない人は想像力が欠如しているという.
一方の私は高いところが大好きで,目に見えるものしか信じられないのかもしれなかった.
あのとき確か,電気生理学と解剖学の話を
より正確には,fMRI-microneurogram-狂犬病ウィルスのcorrelation or causalityの話をしていて
私は一番Solidな立場で書生論を打っていた気がする.
実際には,一日中腰を据えて顕微鏡を眺めたことなど無いのに.

確かに手を動かすのが好きだ.
ハードウェアというか,配線とか電球交換とかに始まる修理系
いわゆる家庭で発生するお父さんの仕事全般を請け負ってきたので(しかしお金だけは稼げなかった)
そういうのが一番家族に喜ばれたのだろう.
逆に,今に至るまでソフトウェア開発は壊滅的に苦手で,
このソフト全盛期に何をやっているのだ感がある.

私は何が掴みたいのだろうか?
昔の人はなぜ,心が胸の位置にあると考えたのだろう?
ときどき感じる内臓の収縮,ヒヤッとしたりドキドキしたりじんわりしたり,そういうのが
あんまり鮮やかだから
何か手ごたえが欲しいから
それを信じようとしたのだろうか.
あるいはぐにゃりとした脳より赤い血の方が説得力があったか.

気付けば自分も当たり前に,完全にソフトの世界にいる
脳の研究をしているつもりだったけれど
先輩から心の研究だと直された.
どちらでもいいように今は思う
どうやったら示せるだろうか?どう示したいだろうか?
一人でできる事なんてないけれど,チームスポーツをやるにもポジションがある
ソフトかハードか
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MashUp

ひらひらと灰のように 静かに積もる細かな憂鬱
気付けば辺り一面真っ白だ
瞼の裏に繰り返し浮かぶ GONE GIRL の一幕
N: I’m not good enough?
A: Not even close!
頭の中で、もう一人の私に突き飛ばされる私

音楽はいい
自分は真剣に志すことをとうの昔に諦めてしまった.
音楽は自由だ
鍵盤を叩きながら
もっと上手くやりたいとか、全然だめだと思う事はあっても
それは次のあることで
基本的には前向きな感情なので
それを越えなければという、見えないハードルは設定されていない
途中でやめてしまってもいい
なんと自由なことだ.
科学は違う
科学に逃げ道は無い
全容の見えない、白くて巨大な岩に小さな彫刻刀で挑むようなもので
ある人は大きな塊を削り出したとか
ある人は精緻な形を掘り上げたとか
遠くで近くで誰かの噂を耳にすることはあっても
自分にはさっぱり見えてこない
どうしたらいいのか
なにを、どこを、どうやって、始めればいいのか.
私は何をしているのか
何をしたいのか
真っ白を前に当惑してしまう.
なにか始めなければ、と岩に浮かぶ薄茶けた筋を削り取ってみるけれど
それはより白い岩を作り出しただけで
何にもなっていないように思える.
強い照り返しに 目を背けるしかない
N: I’m looking for a place to start And everything feels so different now
R: Just follow my yellow light And ignore all those Big warning signs

N: The earth is shaking and I see A light
R: The light is blinding my eyes As the soft walls Eat us alive
科学は誰かの為のものではない
誰かを喜ばせるためのものでもない
意味があるのかもわからない
それでも道具を振るい続ける人たちがいて
そういう人たちが好きで
つい追いかけてしまった
結果、場違いだった
音楽を好きだからといってそれを仕事に出来るわけではない
そんな簡単なことなら十の頃に気付けたのに
今、長く生きてなお、白く途方に暮れる自分がいる
場違いだ

R: All is lost here, except for soul and body, that is, what’s left of them
ふつう、どうするのだろうと思う
本当は、多くの場合、ゴールのようなものがあるのではないか
そう羨む.
もしあなたが50メートルのプールに居るのなら
端から端まで泳ぎ切ることは意味のある事に思える
けれども広い洋の只中に
投げ込まれて右も左も上や下さえ良くは解らなくなってしまった今
どちらかに向かって泳ぎだす事は 至極困難だ
どちらに向かえば何かがあるのか、あるいは何もないのか
自分が先刻まで泳いできた方角さえ
気を付けていないと忘れてしまうというのに.
あの賞が獲りたいとか、あの雑誌に載りたいとか
そういうマイルストーンを持っている人もいるだろうけれど
それは同じ洋を泳ぐ魚を捕まえたいとか、そういった願望に思える.
魚を捕まえたから何だというのだ
食べれば寿命が延びるのか
では寿命を延ばす意味とは.
この何もない海にぽかりと頭を浮かせて、ただただ途方に暮れてしまう

T: My science is terrible and I’m not sure what am I doing with my one time life
M: Science was really making me feel very depressed for a while
この漠とした世界にも、時折交差する存在が在って
霞んでしか見えないけれど、それは確かに友人に思えた.
あちらは確かに前に進んでいるように見えたし
羨ましかった.時には励まされた.
気付けば見失っていたけれど、同じ方に泳いだこともある.
けれど意外なことに、彼らも途方に暮れているという
誰の為でもない 自分の為でもない
生きる為でも勿論ないが 生きるしかないこの地で
わたしは 私たちは 一体何をしているのだろう?

H: I’ll tell you my sins and you can sharpen your knife
泥の沼というよりは白い灰だ
無害なものが静かに降り積もって
いつか肥沃な大地になるのかも知れないけれど、そこに私はいない
目に映るのは、ただ白い、世界だ

K: Fuck, look in my eyes, tell me I died, tell me I tried, to compromise
無責任極まりないことだが、
この私が作り出した岩、私が作り出したこの洋を
上から眺められればなぁ、とぼんやり思う
きっとそうしている人も居るのだろう 居て欲しい
全体像が掴めないから、この一手一手に自信が持てずに
ふわふわとした心地のまま漂っている
座標軸を定められないのだ.
そういえば昔から方位は苦手だった.
K: I’m gettin’ better with time AHHHH

ジョディーフォスターがゴールデングローブのカムアウトスピーチで
口笛はないの?ってジョークを飛ばしていたっけ.
多才な彼女の事だ、困難も人一倍感じたろう.
私にもいつか聞こえるだろうか
冷やかしの、励ましの、関心の、とにかく何か誰かの反応が
あるいはそれは、内側で鳴るのではないか
私の中のどこかに、まだ笛は捨てられずに残っているだろうか
F: What if I say I'm not like the others?

ただ真摯に向き合いたいのだ
自分にだろうか
世界にだろうか
あるいは真理にではないか
それがどんな形をしていて、どんな手触りで、どんな風かもわからないけれど
真理に触れると人は心を打たれてしまう
真理は人の心を掴んで離さない
ただ美しくて、残酷で、のっぺらぼうの真理
私たちはそれを、一目見たいと願う
F: We never found the answer but we knew one thing We all have a hunger

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