率直に言って,自分は非常に幸運な人間だと思います.
D2という,暇でも多忙でも無い時期に
・European Conference of Visual Perception
・意識のワークショップ
・TRGmeeting
・多感覚研究会
・脳と心のメカニズムワークショップ
・多次元トレーニング(後述)
色々と参加する機会を得て
本当に,会いたい会いたいと思っていた諸研究者がたを
近くで見る事が出来たということ.
そもそもが,あまり外交的でも活動的でも無い人間なので
あるいみこれは奇跡的.
もともと,野望の大きな人間では無い事も有り
ほんとうに,“今”会ってみたい,と思う研究者の数が
ぐんと減りました.
もちろん
次は,もっと自分がGive出来る何かを持って
もう一度会ってみたい,というのはあります.
さて順番に.
脳と心のメカニズム(というワークショップ)の話です.
極限の地,北海道.
失礼
ですが,九州出身の自分からすると
なかなかチャレンジングな地域に
1月中旬,行ってまいりました.
ちょっと,細かい話ですが
私は
というか少なくとも私のボスは
知覚心理学者で
(因みに彼は視覚の研究者=王道かつ非常に真っ当な研究者です)
更に分類するならば
CognitionではなくPerceptionの人,です.
この分類,
自分自身も最初は全然良く分からず
Cognition=高次処理?Perception=低次処理??
という漠然とした(しかも失礼な)分類しか出来ませんでしたが
例えば,Attention(注意)というテーマひとつとっても
私(Perception側)からすると,ちょっと難解なシステムである一方で
Cognitionの人からすると,そんな低次なメカニズム,といった感じで
両者の間の認識には色々と乖離が有ります.
まぁ,これは実は良くあることで
例えば普通の工学の人から見ると
心理学なんて曖昧な・・・と,良く言われますが
(やっぱりアンケートや多義解のイメージが強いんだと思います)
実験心理をやっている自分からしたら
工学の人たちの実験の方が,
条件設定が曖昧で,結論として何を言えるのかが分かりにくいなぁ,と
ついつい思ってしまうわけです.
つまり,同じテーマに関する議論が
その登壇者の立ち位置によって,だいぶ変わってくるということで
今回の脳と心のワークショップにおいては,本当にいろんなバックグラウンドの人が集まるので
それをちょっと心配しながらの参加でしたが
結果的に,結構面白かったです.
具体的な例は無限となってしまうので控えますが
諸先生方のトークにでは,論文を数本読んだだけの自分では
全貌を掴み切れていなかった思想や文脈の部分を丁寧に解説して頂きました.
生理学分野(自分にとっては完全に異分野)での
素晴らしい功績について聞かせて頂く機会も頂きました.
そして,非常に個人的な事ですが
自分のポスター発表時
知りあいの研究室の方々にざっくりと説明をしている折に
まぁ,良くあることですが
分かって下さる人と首をかしげている人が両方居て
各人の前提知識が幅広いのでなかなか苦戦しておりましたら
横で頷いていた,その研究室の助教さんが
たった1文で私の研究結果の面白みを後輩君に説明してくださって
完全に舌を巻きました.
うーん.その方が,私の研究の理解に至るまで,僅か数分.
適切な言葉を知っている事と,整理された思考が有るというのは
こういうことか,と.
これは自分の発表人生で第二位の悔しさ.
ひょっとしたら一位かなぁ
年を取ると,やっぱり背負うものが大きくなるから
より悔しくなってしまいます.
うーん,忘れないように自助努力します.
なんていうか,
逆説的で有るように見えて非常にあたり前な事ですが
専門を極めた素晴らしい研究者,というのは
何に対しても見通しの良い目,ないし思考回路を持っていて
私は純粋に,そいういの羨ましいと,近づきたいと
思ってしまいますが.
「サイエンスの分野は宝の埋まっている砂山だ」と
エンジニアリングの先生に言われた事が有ります.
きっと宝物に違いない,掘り出すと素晴らしいに違いないのだけれど
どうも分散していて,何が何やらわからない.どう使ったら良いのかわからない.
というご意見
私としては,非常に耳が痛かった覚えが有ります.
今回のワークショップを通して,この,心に重くのしかかっていた言葉に対して
少しポジティブな気持ちを持たせてくれた
そんな錯覚を覚えました.
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